●安くて良い家は可能か

● なにかがおかしいハウスメーカーの家造り

● 住宅と車は違う!
住まいは住まう人を表現しています。人の顔がそれぞれ違う様に、住まいにもそれぞれ個性があって然るべきなのです。
ハウスメーカーの家造りは、顧客が迷わないから良いと云う理由をつけて、標準仕様を整えて、その枠の中で選ぶ事を強要します。
そう言った営業戦略が、人々に浸透し、それが当たり前の様に通用しているのが、ハウスメーカーの家造りの戦略です。これが、どれも似た様な外観・仕様になってしまう原因です。
この販売方法が、お手軽で、効率的な為に、大手のハウスメーカーから、建売住宅まで、同様の販売手法を取っています。 世間の人は、これが当たり前の事だと、飼い慣らされているのです。
この手法は住宅に関わらず、他の工業製品にも見られます。
例えば自動車です。
自動車は、ボディーカラー以外選択出来るモノはありません。オプションパーツもありますが、それもメーカーの指定した色の中から選択する事になります。
性能面も選べるのは排気量くらいのもので、あとはメーカーのお任せです。
ディーラーにお邪魔して、試乗会で試乗して、気に入った車を注文します。
モデルハウスに行って、住み心地を体感し、家を注文するのに似てますね。
しかし、購入してからが全く異なります。それは、自動車と住宅の寿命の差です。
自動車は数年で買い換えます。他の工業製品も殆ど同じです。飽きたり古くなれば、さっさと買い替える事が出来ます。家はどうですか?
お金持ちなら、買い替える事も簡単でしょうが、一般の庶民はそうはいきません。一生愛着を持って住み続ける覚悟が必要なのです。
自分が一生を託す住まいが、メーカーの指定する性能や仕様で決められてしまって、果たして良いのでしょうか。

● モデルハウスの見方が間違っている
家造りを思い立った時、建築主さんも家造りに対する勉強が必要です。何も難しい建築の勉強をするのではありません。ここで言う勉強とは、自分がどの様な家に住みたいのかを考える勉強です。
これは自分にしか出来ない勉強なのです。
いくらハウスメーカーや、有名な建築家が勉強・研究しても、貴方が住みたい家をイメージ通りに提供するなんて芸当は絶対に出来ません。
貴方自身が希望を伝えないと、自分の望む家は造れないのです。
しかし、そこの問題に気付かず、殆どの方が、言葉巧みな営業マンのセールストークに乗せられて、「決算月なので、今購入されると値引きが大きいですよ!」とかの餌につられて、購入して、完成してみると、イメージと違うとか言いながら、ソーシャルネットワークなんかで愚痴をこぼしているのです。

もう一度言います。住まいは他の工業製品と違います。一生に一度しかないチャンスに、営業マンが親切だったからとか、ブランドメーカーだからとか、住宅の性能とは、何の関係もないものを選定基準にするのは、絶対にやめましょう。
勉強の為に、モデルハウスを巡るのは一向に構いません。
それを自分のイメージ造りに活用するのは、一番手軽で、より具体的な作業でしょう。
但し、見ただけで、営業マンの口車に乗って、ブランドとか値引きとかを理由に買い急ぐ事は愚かしい事です。

● 本当の家の造り方
自分のイメージは出来ているのに、それを人に伝える手段がない。。。。
思い描いている事を表現出来ないのは、貴方だけではありません。人はinputに力を入れるとoutputが出来なくなります。これは脳科学者の茂木健一郎の著書を読めば何度も出て来る脳の特性です。
自分のイメージを具体化する為に、設計事務所は存在するのです。設計事務所が、建築主の要望を汲み取って、イメージを具体化する作業を「基本設計」と呼びます。
基本設計が出来れば、概算見積もりを工務店さんから取る事が出来ます。自分の希望する建物が凡そどれくらいの工事費で出来るのか判断がつくのです。
これを、予算が合うまで、繰り返し行いながら、段階を踏んで、徐々に自分の住みたい家を、カタチにしていくのが本当の家造りだと考えます。

● ハウスメーカーでは出来ない家造り

この様な家造りを、何故ハウスメーカーはしないのでしょうか。
顧客一人一人に寄り添い、お客様の要望を汲み取りコツコツと作り上げた方が、間違いなく良い家になります。しかし、これはハウスメーカーが逆立ちしても出来ない芸当なのです。
ハウスメーカーは、事業を拡大し易くするために、大量生産を目指します。資材を大量一括購入すると、購買コストが下がります。同じものを大量に売り捌く事により、ロスを削減して収益の向上を図るのが、ハウスメーカーの戦略です。
つまりは、メーカーの考えるメーカーにとって都合の良い家を、如何にも優秀な家に見せかけて、ブランド力を背景に「よく分からないけど良さそうに思えるイメージ」を与えながら売りさばく、と云う戦略しか取れないのです。
大量に売り捌く為に、モデルチェンジを繰り返します。新シリーズが如何にも斬新で良い製品かの様な宣伝をします。
しかし考えて下さい。住宅は一生住み続ける事を前提にしていませんか?旧シリーズはどうなってしまうのですか?
旧シリーズはハウスメーカーが、以前に、如何にも良いと宣伝して建てた家であるにも関わらず、流行遅れになってしまうのです。
モデルチェンジを繰り返す、ハウスメーカーの家造りは、新築して数年後から、旧式だと云われ続ける運命にあるのです。そんな家に200年も住む事など出来ません。
顧客一人一人に寄り添う事は、中小の工務店さんしか出来ません。流行り廃れの無い家を、住まう人に寄り添いながら造りあげる家が本来の家造りではないでしょうか。

●安心の住まい造り

阪神大震災以来、日本列島は地震の活動期に入ったと云われています。建物を建てる時、建築基準法に規定された建築確認申請は必須ですが、建築確認申請のみでは生命の安全を保証できなくなっています。
住まいには建築基準法以外にも様々な制度・技術基準がありますのでそれらを上手に活用して安心・安全な住まい造りを心掛ける事が大切です。

■住宅性能表示制度        

 

住宅の品質確保の 促進等に関する法律(品確法)が発足して18年余経過しました。 同法では主要構造部における瑕疵の10年保証、水漏れに対する10年保証の義務化が謳われています。
それ以外にも、品格法には【住宅性能表示制度】も法令化されています。(任意法です)
性能表示制度は、数値化出来る性能に関し、基準を設けて、それまで基準がバラバラだった、各メーカーの住宅の性能を、一つの基準として、客観的に比較検討できるようにしたものです。
一般消費者に分かりにくい住宅の性能を、等級別に区分けし、分かりやすくした制度が、住宅性能表示制度です。
この制度が出来た為、一般消費者が専門家に対し、簡単且つ明快に、性能をリクエスト出来る様になりました。この制度を使って、自分達が欲しい性能をリクエストしましょう。

【住宅性能表示制度の各項目】

1、構造安全性 2、火災安全性 3、劣化軽減 4、維持管理性能 5、温熱環境性能
6、空気環境 7、光視環境 8、音環境性能 9、高齢者配慮 10、防犯性能

 

■長期優良住宅

循環型社会の実現、その一環としてH21年6月に長期優良住宅制度が発足しました。 長期優良住宅の技術基準は殆ど住宅性能表示制度を踏襲したものです。
ただし、技術審査は 設計審査のみで、現場検査がありません。
住宅性能表示制度に無い特徴として、長期優良住宅は、長期に渡る建物の保全について、適切な維持管理が行う事が制度化されているところが特徴です。
但し、その維持管理方法は、建築主任せで、モデルとなる具体的方策が明示されていません。
最近は、定期検査や建物状況調査(ホームインスペクション)を行う検査機関や設計事務所が存在します。
長期優良住宅は下記項目のチェックを受けます。
1、劣化対策
2、耐震性
3、維持管理・更新の容易性
4、可変性
5、高齢者対策
6、省エネルギー対策
7、居住環境
8、住戸面積
9、維持保全計画
このうち、戸建住宅に適用されるものは、劣化対策・耐震性・省エネルギー対策で、維持管理に対しては専用配管の基準のみが 適用され、可変性・高齢者対策は不問となっています。

劣化対策 ○数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること →構造躯体が少なくとも100年継続使用するための措置が講じられている。 劣化対策等級3+α
耐震性 ○極めてまれ(数百年に1度)に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図る。 耐震等級(倒壊等防止)2など
維持管理・ 更新の容易性 ○構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備の維持管理がしやすいこと →給排水管などの点検・補修・更新がしやすい 維持管理対策等級3
可変性 不問  
高齢者対策 不問  
省エネルギー性 ○必要な断熱性能などの省エネ性能が確保されていること →省エネルギー判断基準(平成11年相当)に適合する 省エネルギー対策等級4
居住環境 ○地域の良好な景観形成に配慮されていること →地域の街並みに調和する 地域により各行政庁で指導を受ける場合があります。  
住戸面積 ○良好な居住水準を確保するために必要な規模があること →戸建ては75平米以上、 少なくとも1つの階は40平米以上(階段部分を除く )  
維持保全計画 ○定期点検、補修の計画がつくられていること  

  ■フラット35

フラット35は低金利で融資を受けるための制度ですが、技術基準が定められており、建築基準法よりも厳しい内容となっていますので、より良い住まいが出来上がります。

  一戸建て等(※1) 共同住宅
接道 原則として一般の道に2m以上の接道
住宅の規模(※2) 70m2以上 30m2以上
住宅の規格 原則として2以上の居住室(家具等で仕切れる場合でも可)、炊事室、便所、浴室の設置
併用住宅の床面積 併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上
戸建型式等 木造の住宅(※3)は一戸建て又は連続建てに限る
断熱構造 住宅の外壁、天井又は屋根、床下などに所定の厚さ以上の断熱材を施工(断熱等性能等級2または省エネルギー対策等級2レベル)
住宅の構造 耐火構造、準耐火構造(※4)または耐久性基準(※5)に適合
配管設備の点検 点検口等の設置 共用配管を構造耐力上主要な壁の内部に設置しないこと
区画 住宅相互間等を1時間準耐火構造等の界床・界壁で区画
床の遮音構造 - 界床を厚さ15cm以上(RC造の場合)
維持管理基準 管理規約 - 管理規約が定められて いること
長期修繕計画 - 計画期間20年以上

※1. 一戸建て等には、連続建て及び重ね建てを含みます。
※2. 住宅の規模とは、住宅部分の床面積をいい、車庫やバルコニー等は含みません。
※3. 木造の住宅とは、耐火構造の住宅及び準耐火構造(※4)の住宅以外の住宅をいいます。
※4. 準耐火構造には、省令準耐火構造を含みます。
※5. 耐久性基準とは、基礎の高さ、床下換気孔等に関する基準です。 フラット35Sは当初金利の引き下げ等さらに優遇措置を付加した制度で、その為に下記のいづれかの性能向上が義務付けされています。
● 省エネルギー性● 耐震性 ●バリアフリー性● 耐久性・可変性

● 注文住宅作品集。昭和63年以来今まで200件以上の実績があります。