● 免震でないと安心出来ない理由。

● 実例:大阪で初めての、大手HMに頼らない免震住宅 富田林市

         

  富田林市在住の、お施主様は、免震住宅を得意とする大手ハウスメーカー(HM)と契約までされながら、その契約を破棄までして、私に相談に来られました。
大手HMの家造りは、自社の仕様を押し付けてきて、しかも間取りの不自由さが、耐えられるものではなく、大手HMに頼らない免震住宅は可能ですかとの、ご相談内容でした。
 たまたま、私がIAU型転がり免震装置の設計資格を持っていたのでお話しを聞く事にしました。

 その大手HMは自社開発した免震装置と、ブランド力を背景に全国から顧客を集客し、免震住宅を販売されております。
その為、管理し易い様に、また均質性を確保するため、自社の仕様や間取りを強要してきたそうです。
初めは免震住宅を建てたい一心で、不自由さを承知で契約したそうですが、やはり高額なマイホームの事ですから、自分の気に入る家にしたいとの気持ちも抑えられず、営業担当に相談したそうです。
 しかし、契約が終わっている為か、担当者は非常に強気で施主の希望を全く聞かなかったそうです。
最後には「それだけ好き勝手に建てたいなら免震住宅にしなければいい、周りの人達が死んで行くのに自分だけ助かりたいのですか?」と罵られたそうです。
そこで、思い余ってインターネットで、免震住宅の情報を発信していた私のサイトをご覧になり、相談に来られました。 免震住宅の詳細はこちら>>>「免震住宅でないと安心出来ない理由」

  私は、阪神大震災で、身内が被災した経験から、地震に対する究極の対策はないものか、情報を収集したり、工法を考案したり試行錯誤しておりました。
 そんなある日、東京の免震装置のメーカーから、「この度免震装置の大臣認定を取得したので講習会を受講しないか」との誘いを受けました。
受講すると免震装置の設置基準以外の制約は無く、自由に免震住宅を設計出来る設計資格が得られるとの事でした。
 この手の誘いは、新製品が発売される度に、メールやFAXで寄せられますので、普段は目にも留めないのですが、免震と言う言葉が気になり受講してみる事にしました。
 その免震装置は国土交通省告示に基づく、大臣認定を取得した転がり免震装置で、理論的には震度1からでも免震する非常に優秀な装置でした。しかし、その優秀さが災いして、一件当たり700万円前後する非常に高価な装置でした。700万円あれば免震装置に頼らずとも、もっと安上がりな耐震構造にして、被災してから700万円掛けて建物を補修すれば良く、いつ発生するのか分からない地震の為に700万円を寝かせておくのは勿体ない。と云うのが私の感想でした。

  私はそれ以来、設計資格は取得したものの、免震装置の事は忘れていたのですが、お施主様よりご相談を受けましたので一度お話しを伺う事になりました。
大手免震住宅メーカーの対応のひどさには腹が立ちましたが、免震住宅の費用対効果の悪さも分かっていましたので、何故免震住宅にこだわるのかをお尋ねしました。
 すると、お施主様は、「会社を経営しているので、一たび壊滅的な地震が発生すると、会社の復興再建に手一杯になる事が予想され、家の復旧や家族に寄り添うことは出来ない」との事で、すこしでも未然に憂いを払拭しておきたいとの思いだったそうです。
 なるほど、職業によっては、地震の際に家族に寄り添えない人がいる事を、その時思い至りました。
会社社長・公務員・電気ガス水道関係者・建設関係技術者・報道関係者etc災害時に、ご家族に寄り添えない人は、免震住宅を検討すべきです。
(後日、性能はやや劣りますが、安価な滑り免震住宅も設計しました>>>コスパの良い滑り免震)

  お施主さまの要望は、
和風にしたい(屋根瓦が重く耐震的に不利)
吹き抜けが欲しい(水平構面が確保できない)
大空間が欲しい(耐力壁の不足)
と言う、設計者にとって、三重苦なご要望でしたが、そこは、私の能力が問われているので、否定する訳にはいきません。
屋根瓦は、某住宅建材会社から発売されたばかりの、和瓦そっくりなスレート瓦を用い、家の重心と、剛芯を一致させることにより、吹き抜けのある大空間を確保し、風圧に耐えられるよう屋根形状に工夫を凝らし切り抜けました。

 この家は、建設中に建築技術者も見学に訪れるほど、建築関係者の関心が高く、私も実際に設計して、初めて分かる多数のノウハウを得る事ができました。
 免震住宅は、どなたにもお勧め出来るモノではありませんが、必要としている方には、お金では買えない、安心感を与えるものである事も知りました。
免震住宅の詳細はこちら>>>「免震住宅でないと安心出来ない理由」

 PS.最近は、性能はやや劣りますが、滑り免震装置を取り付けた家も設計しました。
こちらは、震度5以上の、そろそろ建物に被害が出るあたりまで免震はしません(揺れます)が、震度5を超える地震には免震し、壊滅的な破壊を免れる事が出来ます。>>>コスパの良い滑り免震住宅
価格も安価でソーラーパネルを設置するのと大差ない価格で取り付ける事が可能です。

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