● 住宅性能表示制度の構造の安全性に関する等級
住宅性能表示制度は、必須項目と選択項目からなり、構造の安全性は必須項目です。
検証するのは、地震・台風・積雪に対してですが、地震に対して必須項目となり、台風・積雪は選択項目となります。
■等級によるランク付
耐震等級1
住宅性能表示制度では、建築基準法に定めた強度と同等の耐力を持つ耐震等級を、耐震等級1と定めています。
建築基準法の根拠となっているのは、関東大震災です。関東大震災の際に、多くの建物が倒壊しましたので、それに耐え得る強度を持つ事を、建築基準法の根拠にしました。
しかし、昨今の地震で、建築基準法通りに建てた建物でも、被害が目立っています。特に、木造住宅に関しては、耐震等級1では構造的な検証を、簡単な筋交い計算に頼り、最近発生している大きな地震に対して、脆弱である事が顕著になっています。
耐震等級1でも、簡易な筋交い計算に頼らず、構造計算(許容応力度計算)を行う事により、柱一本ごとの力の流れが明確になり、それに応じた対処が出来る為、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と同等の耐力を得る事が可能になります。
耐震等級2
耐震等級2は、建築基準法で規定された強度の1.25倍、の耐力を有するものです。
しかし、熊本地震では、耐震等級2の家も倒壊しています。
木造住宅が、構造計算を行わず、住宅性能表示制度に規定されている簡易計算を用いて構造を決めていた建物でした。簡易計算も計算方法として、住宅性能表示制度で認められている方法ではありますが、柱一本ごとにどの程度の力が加わるのか分からず、経験に基づいて金物等が規定されていますので、構造計算すると、不要な部分に金物を入れてみたり、必要な部分が抜けていたりしているのが分かります。その結果が地震時に倒壊に至った原因ではないかと考えています。
構造計算を行って、力の流れを明快にすれば、どの部分にどれだけの材料を使えば良いのか数値で確認出来ますので、より確実で安全な方法だと云えます。
耐震等級3
耐震等級3は建築基準法で規定された強度の1.5倍の耐力を有するものです。
耐震等級を算出する方法は、住宅性能表示制度に規定されている簡易計算法と構造計算を用いる方法と二種類ありますが、耐震等級3でも構造計算による算出方法をお勧めします。耐震等級3の家が倒壊した例はまだありませんが、力の流れを明快にする方が、構造的に優れているのは云うまでもありません。
構造計算による耐震等級の決定は、地震係数Co値を1倍から1.25倍や1.5倍にするだけです。特に難しい作業ではありません。また、耐震等級が1でも3でも構造計算の費用は変わりません。筋交いの数がやや増える程度です。
台風等級
耐風等級は、選択項目です。選択しなくても良い項目ですが、構造計算を行えば、自動的に強度をチェックしますので、取得しておくべきでしょう。
台風等級1は建築基準法と同程度。台風等級2は建築基準法の1.25倍で、台風等級3の規定はありません。
積雪等級
積雪等級も台風等級と同様ですが、雪の少ない地域では、評価の対象にもなりません。
ホーム → 安心の家づくり → 構造の安全性