●木造収益物件の概算(他構造との比較)

         

木構造とその他の構造の最も大きな違いは構造体の重量にあります。木造は軽く鉄骨造の2/3鉄筋コンクリート造の1/3程度しかありません。
その事は建物を支える基礎に大きな違いを生じさせ、基礎を支える杭にも大きな差となって現れます。つまり鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、完成してしまうと目に見えない場所にお金が掛かっているのです。
これは収益物件にとっては、マイナス要素です。
その費用を目に見える部分に回す事が出来れば、同じ費用で、他の競合施設より良いモノが出来て、差別化する事が出来ます。
木造収益物件であれば減価償却期間が他構造より短く設定出来る事も税法上有利です。 減価償却を完了して建て替え新築を考える時も、解体に費用が掛からず次の事業へスムースに移行出来ます。

★木構造の収益物件とその他構造建物の価格構成比較
設備工事や外構工事や共通仮設工事は木構造もその他の構造も変わりありません。違いは建築主体工事に現れます。

名     称 木造価格構成比 鉄骨造価格構成比 RC造価格構成比
仮設工事 3.92% 2.93% 2.69%
地盤改良工事(杭工事) 5.23% 14.63% 17.94%
鉄骨工事   19.51%  
型枠工事     11.21%
鉄筋工事     13.45%
コンクリート工事   1.46% 11.21%
基礎工事 7.84% 9.76%  
大工手間 19.61% 7.32% 6.73%
建材費 19.61% 4.88% 4.48%
屋根工事 7.84% 5.85% 5.38%
サイディング工事(ALC工事) 5.23% 5.85%  
板金工事 1.96% 1.46% 1.35%
金属建具工事 9.80% 7.32% 8.07%
木製建具工事 5.23% 3.90% 3.59%
内外装工事 2.61% 6.83% 6.28%
防水工事 1.31% 0.98% 0.90%
金属工事 1.96% 1.46% 1.35%
タイル工事 1.31% 0.98% 0.90%
住設機器工事 5.23% 3.90% 3.59%
雑工事 1.31% 0.98% 0.90%
       
  100.00% 100.00% 100.00%


★内訳表を比べると仕上げに違いが出る
構成比で比較すると僅かな差に見えますが、総工費をその構造も同一としますと各工事金額に大きな差となって現れます。
目につく仕上げ工事で住設機器工事で比較しますと、各構造共2000万円の建物であったとすると、木構造は104万円の予算があるのに対し、鉄骨造では78万円、RC造では71.8万円の予算しかない事になります。それが各項目に渡って予算に差がつくのですから、木構造と他の構造では仕上げ工事に大きな差がついてしまうのです。

★木造収益物件の今後

木造収益物件がその他構造に比べ、収益物件に適している事はご理解頂けるかと思います。しかし木造収益物件にも問題点があります。それは資産価値として見た場合その他構造に比べ評価が低く、銀行から事業融資を取り付け難い事です。
幾ら良いと分かっていても、事業融資を受けられなければ机上の空論に過ぎません。木造収益物件を建設しても資産価値を上げる努力が必要なのです。
木造の欠点として火災に弱い事が資産価値を下げる要因となっています。それに対応する為木造耐火建築物の研究が進められています。

一般社団法人 日本木造住宅産業協会では木造の建物であっても一時間耐火構造の認定を取得しています。その他の民間会社でも一時間耐火構造の認定を取得する動きが活発化しています。それらの認定を利用して木造であっても耐火建築物にする事により資産価値を高め、銀行融資を取り付ける事が出来る様になっています。

昨年3月に法改正により、木造の一時間耐火のの告示化がなされました。従来より簡単に木造耐火建築物が建てられる様になっています。今後益々木造収益物件の用途は広がっていきます。

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