● 流行と様式は似て非なるもの

● 木造住宅の寿命・耐用年数

● 基礎断熱の防蟻対策は慎重に

● 自然素材の家造り

         

1、飽きの来ない家造りのために

奈良や京都に何故観光客が集まるのでしょうか。 有名な社寺仏閣があるから?日本の歴史が凝縮されているから? それもあります。でもそれだけではリピーターは訪れません。
奈良や京都へ多くの人が、何度も訪れる理由は町の雰囲気にあるのです。そこには多くのホンモノの自然素材が残っているのです。
本物の板塀、本物の漆喰、本物の瓦、本物の石畳等々です。日頃自然素材ではない人造建材の中に身を置いていますので、余計に心が安らぎます。
住まいを考える時、この自然素材を大切にする心が、飽きの来ない家造りにつながっているのです。
例えば、写真に見える板塀がもしも安っぽい、新建材や合板で作られていたら魅力を感じるでしょうか。
年を経る毎に風合いの増す自然素材だから魅力を感じるのではないでしょうか。

この写真は古くなって接着剤が剥がれてしまった新建材の、合板フロアーです。
これでも新発売の当初は「汚れない、キズつかない、色褪せない」をキャッチフレーズにヒット商品になった合板フロアーです。
確かに汚れず、キズはつき難く、色褪せしませんでした。しかし自然素材ではない故に飽きてしまうのです。
この新建材は、接着剤が剥がれなくても張り替えられてしまう運命だったのです。

この写真は自然素材の木のフロアーです。節だらけで値段は合板のフロアーと変わりません。 その上汚れますし、キズつきますし、色褪せも激しいです。
しかし、手入れ次第で一生使える床板です。ついてしまった汚れやキズは歳月を経るにつれて風合いへと変化し、その変化が飽きの来ない床になるのです。
言い換えれば、キズのひとつひとつが、その家の歴史になるのです。
自然素材の家造りとは、代々住み継がれる飽きの来ない家づくりの事です。

2、化学物質対策

星が4つあれば、建物の使用に制限の無い証しです。
しかし化学物質がゼロである訳ではありません。
合板は防腐剤として化学物質を使用しています。 厳密に自然素材にこだわろうとすれば、一切の合板は使えない事になります。
合板にも剛性や変形し難いと云う、良い特徴もあります。 合板だけに関わらず、家の中には化学物質が充満しています。家具や日用品には化学物質の制限がありません。シロアリ駆除剤も多くは化学物質です。
肝心なのは、化学物質が室内に放散され難く、放散してしまった化学物質を効率よく排出する事だと考えています。
仕上げ材を、無垢の木や漆喰などの自然素材で覆い、直接表面から化学物質が空気中に拡散する事を防ぎ、換気システムの効率を上げる事で化学物質対策は克服できます。


3、アレルギー対策

アレルギーは人により、様々な原因で発生します。 代表的なのは、化学物質、花粉、ハウスダスト、電磁波、ペットの体毛等々です。これらの中で電磁波を除く殆どの場合は空気を清浄に保つ事により対処可能です。
24時間換気の主流は強制排気・自然給気の第三種換気と呼ばれる換気方法ですが、第三種換気では外部から侵入するアレルギー物質を排除出来ません。

強制排気・強制給気の第一種換気を家全体で行える換気システムが重要になります。 強制的且つ計画的に換気を行おうとすればダクト換気に目が行きますが、給気にダクトを用いればダクト内にカビが発生した場合、家中にカビ菌を撒き散らす結果となります。
その危険を回避する為、給気にダクトを用いないシステムも開発されています。 自然素材を多用して化学物質の拡散を抑え、計画的な換気対策でアレルギー物質を排除します。
電磁波対策には、電気配線の系統を出来るだけまとめる様に配置し電磁波シールドクロスで被覆します。

4、自然素材の価値

新建材は経年変化に強く、汚れにくく、腐朽し難い建材です。しかし文化的価値に乏しい材料でもあります。
例えば京都の清水寺が合板で覆われていたら、あれだけ多くの観光客を集める事が出来るでしょうか。
自然素材の持つ風合いや質感が文化的価値を高めるのです。



自然素材は資産価値も高めます。 京都嵐山にある落柿舎は、庶民が暮らした江戸時代の民家です。
藁ぶき屋根に土壁と云った質素な材料しか用いていませんが、250年間の歳月を経て今なお現存しています。
自然由来のものに耐用年数と云う言葉は似合いません。物理的な耐用年数はあるでしょうが、文化的な価値に耐用年数はないのです。
自然素材にはその魅力が備わっているのです。

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