設計事務所はお客様の希望をまとめ、ヒアリングを繰り返しながら、建物の設計図を描き、工事が設計図通りに出来上がっているかチェックする人です。工事現場にずっといる訳じゃありませんし、自分で工事をすることもありませんので、一般の方には馴染みの無い職業ですが、家造りには無くてはならない存在です。
音楽に例えますと、設計事務所の仕事は作曲の仕事です。お客様からどの様なイメージの曲が良いか打ち合わせを重ねながら、楽譜を作る仕事です。指揮者は工務店さんで、演奏者は各職方さんです。
曲を作ってもらおうと思った時、指揮者や演奏者ではなく、作曲家に作曲を頼みますよね。設計事務所に設計をお願いするのは普通の事なのです。
ハウスメーカーさんや工務店さんでも、プランは作ってもらえます。しかし、工事に携わる人のプランは、自分が造り易いプランになる傾向があります。木造を希望していても、鉄骨が得意なメーカーさんだったら鉄骨造の良さを強調して、鉄骨造のプランを勧めてきます。また、自社で設定した造り手都合の標準仕様を押し付けて来て、その中でしか選択出来ない様にしています。それって本当に注文住宅なのでしょうか。
設計事務所のプランは、全てがオーダーメイドです。一つ一つを吟味して、お客様に最適と思われるものを提案します。
建設業界は、近年複雑化の一途を辿っています。つまり、それぞれの専門職でないと、満足の行くモノが造れないのです。プラン造りの専門職は設計事務所です。プランだけなら見た目の大きな違いはありませんが、似た様な間取りでも、耐震性能・断熱性能・維持管理性能・劣化性能等々を、造り手の勝手都合で決めた標準仕様に囚われず、お客様の要求する性能を図面化出来るのは設計事務所だけです。
ハウスメーカーさんや工務店さんの提示する設計費用は数十万円です。設計事務所の設計料はその倍くらいになります。設計費用だけ見ていれば高いですが、トータルコストは逆に安くなります。
例えばの話しですが、Aハウスさんが3000万円の家を提案されて来ました。Bホームさんは2800万円の家を提案されました。その話しを聞きつけたC工務店さんが「うちは宣伝広告費にお金を掛けないから」と云って2600万円でプランを持って提案に訪れました。
よくある話しですよね。果たしてどこの会社が最も安いとお考えでしょうか・・・・・・
その答えは「比べようがない」なのです。一般のお客様は、この比べようのない問題に一生懸命理由をこじつけて、自分を納得させているのです。
各社共に自社の自慢をします。しかし、そこには比べられる要素が何もないのです。Aハウスは耐震等級を最高等級で取得していると云い、Bホームは省エネ基準では自社に勝る会社は無いと云い、C工務店は自然素材で造らないと、不健康になると力説します。一般のお客様がこの話しを聞けば、言葉巧みな営業マンの腕や誠意次第で、業者が決まる事でしょう。しかし、営業マンの言葉巧みさや、誠意って貴方が求めているものですか?
貴方の求めているのは、耐震等級が最高等級の、断熱性能が優れた自然素材を多用した家ではないですか?
設計事務所は、そう云ったお客様のご要望を、設計図書にまとめるのが仕事なのです。もちろん、予算内に納める為、何が必要で何が不要なのか、お客様とディスカッションを重ねます。設計事務所は、お客様の要望を満載した図面で、一つのカタチを造ります。そのカタチをビルダーさんに値段を付けてもらうのです。
方法は、競争見積もりです。複数の工務店から見積もりを取ります。また提出された見積もり書に不備が無いかチェックするのも設計事務所の仕事です。その結果、Aハウスは2800万円。Bホームは3000万円。C工務店は3200万円の見積を上げて来ました。
何処が一番安いですか?同じ間取り・同じ仕様と云う統一されたカタチで見積書が上がってきているのですから、Aハウスが最も安いですよね?
最初にAハウスさんを選んでいると、200万円損した事になります。Bホームさんにお願いしていたら、工事途上で200万円の追加工事が発生していた可能性があります。C工務店に至っては600万円の追加工事が発生して、これは話が違うと紛争になった可能性すらあります。いずれの会社の営業マンの言葉を信用しても、損した事になるのです。トータルで考えると設計事務所の方が安くなると云う理由はここにあります。
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最近は設計事務所+地域で検索しますと、すぐに設計事務所が見つかります。どの設計事務所さんも代表作品をホームページに掲載されています。
しかし注意して頂きたいのは、ホームページからはビジュアルのカッコ良さや感じの良さは伝わりますが、耐震性能や、断熱性能と云った住宅の性能を伺い知る事が出来ません。
斬新な設計で建築士の野心だけを満足させていて、住み心地は悪いだろうな・・・と思ってしまう家も中にはあります。
雑誌とか専門誌で取り上げられて、お客様がそれで満足されているのであれば、周囲がなにも云う事はありませんが、住まいの基本はお客様の為の家なのですから、野心はぐっと抑えてお客様の要望だけを汲み取る様にしています。
同じ設計事務所でも、住宅を専門にする事務所もあればビルばかりを設計している設計事務所もあります。
また住宅ばかりを設計している設計事務所でも、デザインが得意な設計事務所もあれば、住宅の性能を重視する設計事務所もあります
インターネットで住宅を検索してみると、インスタ映えする住宅写真ばかりに目が行ってしまいますが、本当に心地良い家に住まおうと思えば、デザインばかりでなく、住宅の性能を追求する姿勢が不可欠なのです。
確かに、大きな開口を取って、日差しが燦燦と降り注ぐ様なリビングは、気持ち良さそうに見えてしまいますが、実際はクーラーも効かない、温室の様な蒸し暑い部屋かも知れません。
人の視線が集まる、素晴らしい外観も、地震に弱い構造かもしれません。
インターネットやインスタグラムからでは、住宅の性能まで見えて来ないのです。
住んでみないと、住宅の心地良さは分かりません。また、住宅の耐震性能も、地震が発生してみないと、性能を検証する事は出来ません。
しかし、だからと云って、断熱性能や耐震性能と云った、住宅の性能に目を瞑っていては、本当に心地よい家にする事は出来ません。
インターネットでは、ビジュアルでしか判断できませんが、インターネットで伝える事の出来ない、家の性能が、住まいの心地よさにとって、重要である事を忘れないでください。
岡田一級建築士事務所は、心地よさや性能を、可能な限り数値にして提案致します。