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● 構造検査

木構造の場合、耐震化に重要なのは、筋交いや面材で構成された耐力壁です。
体力壁の量が木造建築物の強度を左右します。その為、検査も、耐力壁を中心に進みます。
丈夫な家にするには、この検査は非常に重要な検査なのですが、実は木造住宅の場合、検査よりも、構造設計の方が重要な問題なのです。

★何故木造だけ構造設計が重要なのか。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、広い意味で云えば、構造の検証方法は構造計算による方法一つだけです。しかし、木造住宅の構造の検証方法は、法律の成り立ちの理由で、筋交い計算と云う簡易計算と、構造計算による詳細計算の二種類が存在するのです。
一般的に、簡易計算と詳細計算の二重の基準を設けるのであれば、簡易計算は、安全率を見込んで、より厳しい結果となるように、しなければなりません。
例えば、省エネ計算も、簡易計算と詳細計算の、二重の基準がありますが、簡易計算の場合、計算は簡単になりますが、より性能の高い断熱材を用いねばなりません。詳細計算を行わないと、仕様を削る事は出来ないのです。
しかし、木構造に関しては、簡易な筋交い計算の方が、詳細な構造計算よりも、筋交いの数量は少なくて良いと言う、非常に都合の悪い結果が出てしまいます。
下に例を示します。

● 筋交い計算なら、これだけの筋交いで耐震等級3が取得できてしまう

今回、実況中継している建物を、筋交い計算を用いて、耐震等級3の設計をしてみました。上図の赤い部分が筋交いを表しています。外周部には面材耐力壁を配置しています。その結果、90x45mmの筋交いをたすき掛けしたものが、一階には6か所二階には5か所必要と云う結果になりました。
この建物は、耐震等級3を取得している建物ですので、耐震等級1で良ければ、筋交いはこれの7割程度で済んでしまいます。
常識で考えれば、筋交い計算は簡易計算ですので、構造計算よりも安全率を高く見込んでいなければならないハズです。構造計算を行うと、より詳細に安全を検証出来る訳ですから、本来であれば、より筋交いは少なくても良いハズです。しかし、構造計算を行うと・・・

● 構造計算では、筋交いの量は2倍必要と云う結果がでる

上図が、今回の建物で用いた、実際の筋交いの数量です。構造計算を行うと、一階で12か所、二階で8か所に増えてしまいます。それだけでは足りず、面材耐力壁の位置にも片筋交いを、一階で11か所、二階で3か所追加しています。これでやっと耐震等級3を取得出来るのです。
建築基準法では、筋交い計算(簡易計算)と構造計算(詳細計算)のどちらを採用しても良い事になっています。その為、経済的理由・技術的理由から、現在造られている木造住宅のほとんどは、筋交い計算しか行っていません。
筋交い計算を行うのは良い方で、構造の殆どをプレカット屋さん(構造材の製材会社)に任せきりで安全の検証をしない業者も多く存在します。
★国は、国民の利益を優先せず、業界の利益を優先している。
何故この様な、矛盾した二重構造が出来てしまったのでしょうか。これは建築基準法の成立まで遡らないと、理由を見つける事が出来ません。

普通の二重基準であれば、同時に基準が出来上ります。その為詳細法と簡易法のバランスが取れ、簡易な方法の方が計算は簡単だけれど、より厳しい基準となるように、設定されているのです。

しかし、筋交い計算の場合は、昭和26年の建築基準法発足の時点で決められていましたが、構造計算法は、木造三階建てが解禁された、昭和62年以降です。
木造三階建は、構造的な不安を理由に、それまでは認められていませんでした。木造三階建の合法化する為に、S造やRC造並みの構造計算法が確立され、ようやく木造三階建が認められる様になったのです。しかし、この構造計算法で、木造二階建ての計算をしてみると、上記の様な、構造計算の方がより厳しい結果になってしまう、矛盾した結果が出てしまったのです。
本来であれば、この矛盾を是正して、簡易な筋交い計算の結果をより厳しくするのですが、実際は、金物を増やす程度で、抜本的な改正はされずに、今日まで至っています。
簡易計算と構造計算の、どちらが正しい結果なのかは、力の流れが明快に解析できる構造計算の方が正しいのは明白です。
筋交い計算で耐震等級2を取得した家が、熊本地震では倒壊しています。構造計算を行って耐震等級2を取得しれいれば、倒壊を免れたかも知れません。

● 家を丈夫に出来るのは貴方の意識次第です

この矛盾は、今まで幾度も国会に取り上げられ、審議されて来ました。しかし、建設業界の混乱を理由に毎回、沙汰闇になっているのが現状です。

これが、大きな地震が発生する度に、木造の住宅が多く倒壊する真相です。

国が具体的な策を見いだせないのであれば、貴方自身が自分の不動産を守るしか方法はありません。木造住宅で新築を検討している方は、必ず業者に構造計算を行って下さいと注文しましょう。
岡田一級建築士事務所の注文住宅は、建築主様からリクエストされなくても、構造計算を行います。

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