● 塗る断熱材って本当に省エネ効果があるの??

         

●ワイドショーで話題になった塗る断熱材。果たしてその省エネ効果の実力は?
先日ワイドショーで報道されました塗る断熱材。多くの方が関心を持たれたのか、私のところに問い合せが多く来ました。
まだ使用した事が無いので、どの様なものかデータを集める事にしました。
インターネットで検索すると様々な会社や塗装店・リフォーム屋さんが様々な商品名で塗る断熱材を宣伝しておられます。
【冷やした鉄板に塗ると冷たさを感じない】
【省エネ製品で賞を受賞した】
【火にかけたフライパンに塗ると生卵が目玉焼きにならない】
等々並びますが、省エネ効果を数値で根拠を示す事をしないで、ただただ感情に訴えてます。
果たして本当に省エネ効果があるのかだんだんと懐疑的になって来ました。
省エネ効果の良否と云うのは、一定時間内にどれだけ熱を通すのかと云う問題ですから、たとえ省エネ効果の悪い断熱材でも、断熱材の厚みで省エネ効果の悪さをカバーする事が出来ます。
逆に云えば厚みの薄い断熱材は余程の性能が良くない限り省エネ効果は向上しません。

●熱伝導率は0.013Kcal/mh℃
そこで、断熱材の良否を分ける単位、熱伝導率を公表しているサイトが無いか探してみました。
するとテレビで報道されたメーカーではないですが、一社だけ熱伝導率を開示していました。
それによると熱伝導率は0.013Kcal/mh℃でした。

・・・・。

通常建築業界では国際単位系のSI単位である(W/mK)を用います。
JIS規格である(Kcal/mh℃)で示されても、他の建築で用いる断熱材と省エネ効果を比較する事が出来ません。
そこで、ネットでSI単位換算表と云うのがありましたので、SI単位系に換算してみました。
すると、0.015W/mK。

おおおおおこれはすごい!

一般の木造住宅で用いられる高性能なフェノール発泡樹脂の約二倍。
普及しているグラスウール16Kの三倍の省エネ効果があります。
これは確かにすごい。。。

しかし待てよ。。。

●断熱材は厚み次第
グラスウール16Kの三倍の省エネ効果があっても厚みはどれくらいあるの?
あくまでも塗装品ですので、カタログによると厚みは0.6~1.0mmしかありません。
グラスウールは通常壁の中に入れますので100mm程度あります。つまりこの塗る断熱材は、グラスウールと同じ省エネ効果を出そうと思えば34mm以上の厚みで塗らないと同じ性能にはならないのです。
1mmの厚みでは、グラスウールの1/33程度の省エネ効果しかありません。これでは断熱材とは言えません。

●室温が6度も下がる?
それでもサーモグラフィーを使ったり温度計を用いたりして二階の室温が6度下がったと宣伝しているサイトもありました。

グラスウールの1/33の省エネ性能では、6度も下がるはずがありません。

これは私の想像ですが、実験に用いた塗料が白い色をしていて輻射熱をカットしたのだと思われます。
熱の伝わり方には伝導・輻射・対流の三種類あります。そのうちの伝導に注目してグラスウールと比較しましたが、塗った塗料の色が白かった為に輻射熱をカットしたのだと考えれば室温が6度下がったのも納得できます。
輻射熱も熱の流出入には重要で、人工衛星の表面に金色のアルミ箔を貼って輻射熱をカットして中の精密部品を保護したりします。
身近な話しでは石油ストーブの反射板が輻射熱をカットしています。石油ストーブの表側は熱いくらいですが、裏側の温度は暖かい程度で手で触る事も出来ます。これも反射板で輻射熱をカットしている為です。
但し、輻射熱をカットするだけならば、塗る断熱材をわざわざ使わなくても、ホームセンターに行って白や銀色のペンキを買って塗れば事が足ります。

真相は実際に塗る断熱材を箱に塗り、色を黒や白に変えてみて、箱の中の温度がどれくらい変化するものか、実験しないと分かりません。
塗る断熱材メーカーの方がこのコラムを読まれて、上記に示した実験をして頂けませんかね^^

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